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第3回 琴によるポップスコンクール結果 [コンクール情報]

皆様 こんにちは。
秋風が心地よい今日この頃、いかがお過ごしですか?
今日は8月に行われました第3回 琴によるポップスしんコンクールの結果と同コンクール主催者からの講評をお届けします。
今回チャレンジした方、来年は挑戦しようと思っている方、はたまたお琴でポップスを演奏することに興味のある方・・・何かヒントになる言葉があるかも知れません。
是非、ご一読ください。

【第3回 琴によるポップスコンクール結果】

 大日本家庭音楽会主催の同コンクール本選が8月9日に家庭音楽会神田スタジオで、予選通過の13組によって行われた。
今回は演奏レベルが比較的高い方々の本選となったが、審査員一同を惹き付けるような演奏者は今回も見当たらなかった。
今年も残念ながら最優秀賞は該当者無しという結果となった。
審査員は坂本正彦・野村倫子・大平光美の各氏。
結果は下記の通り。

 最優秀賞  該当者無し
 優秀賞   ①奥村健一・奥村京子 「恋におちて」 (新潟)
         ②藤崎哲矢・日高さとみ 「プレイ・バックpartⅡ」 (埼玉)
          賞状および賞金10万円が授与。
 特別賞   ①日高さとみ 「夢一夜」 (東京)
         ②金子展寛 「明日への扉」 (東京)
 今回も最優秀賞の該当者が無かった為、審査員特別賞を2組に追加決定した。
優秀賞の奥村健一氏の「恋におちて」は清楚で端正な奥村氏の演奏が高い評価を得て、優秀賞が真っ先に決定した。
ただ伴奏の17絃の音楽的効果が低かった事に不満が残った。
続いて優秀賞に選ばれたのは藤崎哲矢・日高さとみ「プレイ・バックpartⅡ」だった。
第一回より出演されているこのお二人は、高い演奏技術を持ち、舞台に独特の雰囲気を醸し出す表現力を持っており、これは評価すべきものであろう。
ただ曲の表現スタイルが少し古いのが残念な点である。
選曲もベストではなかったような気がする。
 この20年の間に映像文化とインターネットの発展により、一般大衆の色彩感覚やデザイン感覚は飛躍的に向上し、安価でセンスの良い物に囲まれて、質の高い大衆社会へと変貌して行っています。
そんな中、邦楽界の時代感性の遅れを痛切に感じています。
ポップスコンクールで求めているものは、新しい時代感性を感じる演奏とその音楽性を効果的に聞かせる為の音楽デザインであり、古いものがだめと言っている訳ではなく、古いものを新しいデザインで表現する事によって、その古い良さをより引き出す感性が必要です。
やはり「お琴って素敵ね!」とか「この曲はお琴で弾いた方が素敵ね!」と一般の方々にも言って欲しいのです。
 江戸時代衰退した琴音楽を蘇らせたのは、当時の町人文化が生みだした三味線音楽を琴にも取り入れる事によって、大衆が喜んで聞いてくれる音楽となり琴は隆盛を迎えました。
明治から江戸的美意識が薄れていく中、大正から昭和にかけて、宮城道雄や筑紫歌都子が当時最先端であるヨーロッパのロマンティシズムを琴音楽に取り入れ、若者に熱狂的に指示されました。
 戦後の高度成長期には、洋楽器系の作曲家による現代邦楽が学生を中心にブームとなりましたが、そのブームを支えた学生邦楽のメンバー達も既に還暦世代に入り、高齢化社会の一員となってしまいました。
社会は急速に変化していきます。
ただ音楽の本質的テーマは、人を恋う心や友情・別れの悲しみ等、万葉集の時代から何も変わっていない。
変わったのは、その表現方法と聞かせ方のデザインである。
 今回も大変上手な演奏グループが数組あったが、その演奏表現と曲のデザイン(編曲)のセンスが些か古く感じられたのが、受賞から外れた原因である。
ポップスには現代・今の大衆の心を鷲掴みにして 「お琴って素敵ね!」と言わせる人と音楽が出て来て欲しいと切に願う所から、このコンクールを続けているのである。
それだけに中途半端な妥協で、最優秀賞を決める事は出来ないと固く信じています。
次回にどんな曲と演奏者に出会えるかが楽しみです。
また何度もチェレンジする事の素晴らしさを今回も実感させられました。
人は時と共に変化するし、挑戦する度に音楽に魂が籠って行くのが感じられます。
今回の受賞者もそうですし、遠く礼文島から今回も参加して頂いた、浜下陽子さんの急速な音楽的上達には感動すら覚えました。
荒井美帆さんはもっと深い音楽的世界を現代的に切り開く能力を持った方だと信じているからこそ、今回は受賞対象から外れました。
その他野村玲子さんのリズムの切れと音質の高級感は次回に期待させるものを感じた。
今回審査員特別賞を贈る事になった日高さとみさんは、舞台を独自の色合いに染め上げてしまう音色の表現力には、群を抜いた魅力がある。
デザインは少し古いが来年もまた日高さんの演奏を聞きたいと言う意味で選んだ。
金子展寛君は中学生ながら編曲のセンスの良さと、演奏の確かさを期待しての選考。
後はグループとしてのサウンドの魅力を作り上げる事が残された仕事である。
 最後に今年は学校関係の申し込みが数組あったのが特徴で、御指導なさっている先生方の人格的高潔感や熱い気持ちが感じられて、本当に嬉しかった。
まだ演奏技術が未熟で残念な結果とはなったが、今後が楽しみな傾向である。
色んな意味でも次回が期待される。

審査員 坂本正彦



 


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